パクリのソナタ2004
 


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2002年4月2日 朝日新聞朝刊34面
■17歳、歴史問いネット攻撃

約束の場所は元従軍慰安婦の抗議集会があった日本大使館前。現れたのは、ソウルの公立高校に通う17歳の少年3人だった。
日本をねらった「組織的攻撃の首謀者」にしてはニキビ顔があどけない。
「アンチジャパン」と題するウェブサイトの運営者たちだ。去年8月15日、教科書問題への抗議のため、自民党本部や文部科学省などのホームページ(HP)をマヒさせようと、ネット上のあちこちの掲示板で「サイバーデモ」を呼びかけ、敢行した。
サイトの表紙には韓国語でこう書いてある。
「警告 日本人と犬、猫、牛等は入るべからず」

イ・ミヌは去年5月まで3年間をカナダで過ごした。日本人留学生とよく言い争った。
「独島(竹島)は韓国の領土だろ」「どこにあるんだ、それ?」
韓国人なら緯度も経度も歌の文句で覚えている。
「日本の若者は知らないことが多すぎる。腹が立った。帰国すると、教科書問題を受けた日本球団サイトが続々と誕生していた。「ヘイトジャパン」「ファックジャパン」……。ミヌもサイトを立ち上げた。

仲間に加わったのが同じクラスのムン・スンファン。「小さい頃から日本人(イルモンサラム)のことを『日本のやつ(イルボンノム』と言ってきた。学校で教わらなくても、何となく日本は悪いってしみついてるのさ」
もう一人の同級生イ・スヒョンは「でも、日本全体の批判が目的じゃない。歴史歪曲が問題だと思っている。日本は強い国でしょ?放っとくと、隣にいる韓国はすぐ不利になる」。
抗議手段として選んだのがサイバーデモだ。大勢の参加者が同時刻に一斉にHPに接続し、更新キーを押し続けてサーバーをダウンさせる。彼らは、セットすれば自動的に標的を設定し、接続を繰り返すプログラムをばらまいた。
ミヌたちの推計では、夏のデモには十数万人のネチズン(ネット市民)が参加した、という。
隣国からのサイバーデモに、日本側は神経をとらがせている。
ミヌたちには日本からとみられるメールが一週間で700通きた。一通を日本語に変換すると、「死ね死ね」と書き連ねてあった。

経済産業省はデモ情報を事前につかもうと、韓国語や中国語などでのネット検索システムの開発に予算をつけた。警視庁は、韓国側に再三取り締まりを要請している。
だが、韓国警察庁・サイバーテロ対応センターの担当官は「(韓国)の国民感情も考慮しなければ」と、言葉を濁す。

ミヌたちの活動は学校でも公認だ。去年の担任教師(42)は「ゲームに熱中するより社会に関心を持って行動するのは良いこと」と話した。
今年1月には、韓国の犬肉食の習慣をゆがめて伝えたとして米国の放送局のHPを攻撃した。
「韓国の文化を守るのもぼくらの使命。自尊心にかかわる問題だ」
だが、ソルトレーク冬季五輪で韓国選手が失格し、米選手が金メダルを取った際、ほかのネチズンが五輪公式HPへのデモを呼びかけてきた時には同調しなかった。アンチジャパンの趣旨から外れると考えたからだ。ところがネット仲間からは「なぜやらない」と非難が殺到した。

「韓国人は、鍋みたいに熱しやすくて冷めやすい。最近の掲示板はアンチ米国の話題ばかり。日本の歴史問題が解決したわけじゃないのに」。幼い「愛国者」たちは、そう嘆く。
そういう彼らも、今年は受験勉強で忙しい。デモはしばらくお休みになりそうだ。
それに「日本の良い面を紹介する掲示板も作りたいんだ」と、スヒョンが屈託のない顔で付け加えた。
「ぼくだって、エヴァンゲリオンやトトロは大好きだからね」